製品

太陽光発電:カリフォルニア州モハーベ砂漠

プロジェクト:

イヴァンパー太陽光発電所
カリフォルニア州モハーベ砂漠

2013年、カリフォルニアのモハーベ砂漠で、377メガワットの集光型太陽光発電(CSP)複合施設が稼働し始めました。イヴァンパー太陽光発電システムは、太陽追尾装置反射鏡パネルを配置した3箇所のフィールドからなっており、合計で3,500エーカーの大きさです。それぞれの太陽追尾装置は、太陽の光を3つの受光器タワーの1つに集光させます。受光器タワーでは、集まった太陽光で蒸気を発生させてタービンを回転させ、カリフォルニアの14万世帯の電力を発生します。

課題

集光型太陽光発電(CSP)は、鏡や虫眼鏡で小さな火を起こそうとするのと少し似ています。太陽が当たるように鏡を持っていなければ、火は起こりません。同様に、集めた光を可燃性のターゲットに安定して正確に合わせないと、火が起こりません。

発電所の生産性を最適にするために、イヴァンパーのエンジニアたちは、173,000基の太陽追尾装置が、1日中、常に受光器タワーに向けて最大の太陽光を反射させるように調整する必要がありました。その偉業を達成する際、彼らは3つの大きな課題に直面しました。

第1に、太陽の位置は絶えず変化します。各太陽追尾装置は、0.009rpmの速さで毎日最大270度回転する必要があります。太陽追尾装置が太陽光線をより正確に集光できるほど、発電所の出力は高くなります。

第2に、砂漠では最高で時速190マイルの突風が吹くことがあります。イヴァンパーの太陽追尾装置は、直径25平方メートル以上の大きさです。広いモハーベ砂漠では、これらの大きくて平らなパネルは暴風の中の帆のようになり、配置用のギアが不安定になったり、はね返りが起こります。さらに、ギアは風によって運ばれる砂やチリに耐えなければなりません。

第3に、173,000基の太陽追尾装置の維持には、膨大な費用がかかります。稼働開始になると、ギアのはね返りがギア自体に負担をかけ、ギアセットが短期間で摩耗することがあります。エネルギーコストを低く抑えるために、イヴァンパーの太陽追尾装置のギアは一度に数十年にわたって安定性と精度を維持する必要があります。

ソリューション:

Cone Driveからのダブルエンベロープウォームドライブ

いくつかのメーカーのギアトラッキングドライブシステムを評価した後、BrightSourceは、Cone Driveのダブルエンベロープウォームドライブをイヴァンパーの数万の太陽追尾装置に取り付けることに決めました。ドライブは、衛星測位や手術器具に使用される精密な移動制御を提供し、寿命が最長で35年になるように設計されています。

その仕組み

Cone Driveのダブルエンベロープウォームドライブは、ギアを抱えるような形状によりギアとウォーム間の接触面積を増やし、従来のウォームドライブよりも安定性を高めます。ウォームギアは砂時計のような形状によって相手のギアを抱え込むようになっており、もう一方のギアの円周とぴったり合うようになっています。

「この優れたかみ合いが、より高いトルク容量とより大きな耐衝撃性につながります」と、Cone Driveの戦略的市場のディレクターであるジェイコブ・ランドールは言います。「ダブルエンベロープギアセットは、はね返りゼロの完全性を維持するのに役立ち、歯とねじの間のギャップによって引き起こされるすき間や停止を無くします」。

Worm Gear Illustration

Cone Driveのダブルエンベロープウォームドライブは、ギアとウォームの間の接触面積を増やし、従来のウォームドライブよりも安定性を高めます。

利点

その1:精密さ「ダブルエンベロープで達成できる精度は、イヴァンパーにぴったりでした」とランダルは言います。Cone Driveのギアセットにより、イヴァンパーの太陽追尾装置はより確実に受光タワーに多くの太陽光を集光させることができます。173,000基の太陽追尾装置があるため、精度を少し改善するだけで、発電所の出力に大きな差が出ます。

その2:安定性。Cone Driveのダブルエンベロープウォームドライブは、極端な強風でも、イヴァンパー太陽追尾装置を最適なレベルで動作させるのに役立ちます。「ねじり力に対しても、ギアは非常に抵抗力があります」とランドールは言います。「風が反射鏡に当たっても、鏡は動きません」。

その3: ゼロメンテナンス。太陽追尾装置は非常に安定しているため、Cone Driveのソリューションは、摩耗や高価な修理の必要性だけでなく、ギアのはね返りを最小限に抑えます。ギアの内部は潤滑されて恒久的に密閉されており、砂、汚れ、チリに対しても強いのでメンテナンス作業がいらなくなります。

結果

イヴァンパーチームは、過去7年間の運転で、太陽が出ていないときや雲に隠れているときに蒸気タービンを運転するのに使用する天然ガスの量と比較して、発電所のクリーンエネルギーの出力割合を増やすことに成功しました。

  • 2015年以来、この発電所は年間平均70万メガワット時間近くの太陽エネルギーを生産しています。
  • イヴァンパーは、1日のピーク時には140,000以上のカリフォルニアの世帯にサービスを提供しています。
  • この発電所は、30年の寿命にわたって1,300万トンの二酸化炭素の排出を抑えるのに役立っています。

BrightSource Energyは、Cone Driveのイヴァンパーでの成功をうけて、アラブ首長国連邦の700メガワットの発電所やイスラエルのネゲブ砂漠の発電所を含む、他のCSPプロジェクトにも同社の技術を使用しています。

「太陽光発電技術は改善し続けます」とランドールは言います。「再生可能エネルギー源への関心が高まる中、少しずつ改善することで、大きな利益が得られます」。

Cone Driveのダブルエンベロープウォームギア太陽光産業への参加についてお読みください。